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  • マーケティング視点導入のすゝめ(WHO)

    マーケティング視点導入のすゝめ(WHO)

    この投稿は、マーケティング視点導入の続きのとなる。
    前回はWHO(顧客理解)について詳しく説明できなかったので、こちらで
    ご説明していきます。

    解像度を上げるということ

    よくwho(誰に=ターゲット)を教えてください。と聞くと「20代女性」「年収500万円の人」などと耳にする。また、女性は「美容に興味のある4歳の子供を持つお母さん、朝は7時に起床して〜…」といったペルソナを設定することが大切だ、という方も多い。

    しかし、よく考えてみて欲しい。
    20代女性がターゲットなら30代女性はターゲットから完全に外れるのだろうか?
    年収400万円台でも、同じくその商品を欲しい人はいるのではないだろうか?
    設定したペルソナは本当に存在していて、その人はあなたの商品を欲しいと本当に思っているだろうか?

    ブランドが勝手に決めたターゲットに過ぎない。消費者が見えていないのではないだろうか。または、不必要にターゲットを狭めてしまってはいないだろうか?

    「解像度を上げる」とは、消費者をもっと理解する ということだ。なぜ商品を購買するのか?どうやって商品を見つけたのか? 消費者は何に期待しているのか? なぜ1回は購買したのに2回目は購買しないのか? 20代男性でもネイルをする人もいれば、化粧をする人もいる。

    「美しくありたい」という気持ちを、感覚的に男女でわけてしまってはいないだろうか?

    who(誰に)を定義していく際は、様々な視点から消費者の本音や事実を見つけていくことから始まる。

    定量と定性

    これらは、一般的にデータ分析などで語られそうな話だ。売上が、単価が、購買頻度が、問い合わせ数がなどである。しかしそれだけではない。数字で表記されるものは「定量データ」と呼ばれる一方、感情や行動など数字で表記できないものは定性データと言われる。

    例えば、カフェの売上が1万円だったとする。平均の単価が1000円だったとき、客数は10名となる。これらは定量的なデータと言える。しかし、10名がなぜそのカフェに来店してくれたのかは数字からはわからない。しかし、何かしらの施策をうち、カフェを新しいお客様に届けるためには、その定性データこそが参考になるだろう。

    打ち合わせでカフェを利用したのなら、どんな施策が打てそうか?
    友達と話にきたのならどんな施策が打てそうか?
    お客様との商談の場として利用していたらどうだろう?
    ゆっくりコーヒーを飲みにきた人に向けてはどうだろうか?

    これらは数字では表せない。世の中にアンケートが存在するのはそのためだ。

    しかし、アンケートもまた「事実」データとして扱えるかはわからない。

    マクドナルドは、消費者にアンケートをとった結果「もっとヘルシーなものがあれば欲しい」というデータを得た。それに沿って「サラダマック」を新商品で販売したが不調だった。

    「欲しい」と言われて作った商品を誰も買わないのだろうか?

    この話の本質は、人間は「言語化ができない生き物である」「悪気もなく嘘を言ってしまう」ということである。本当にマクドナルドでヘルシーなものを食べたいとは思っているはず。しかし、いざとなったら高カロリーなハンバーガーを食べてしまう生き物である。

    大きなブランドでもこのような間違いは起こりうるということを理解してほしい。

    そもそも、マクドナルドにいく時点で、ジャンキーなものが食べたいと思っているはず。ヘルシーなのにジャンキーを味わえる商品であればいいのだろうが、そうでもない限り、ヘルシー商品が選択される確率は低くなりそうではないか?

    それだけ定性データは扱いが難しい。だからこそ自身の知覚力、観察力を駆使し「本当にそうか?」と問いを立て、仮説を構築する力が必要になる。

    データの種類

    ・デモグラフィックデータ
    個人や集団の年齢、性別、職業、所得、教育水準、居住地、家族構成などの人口統計学的な属性を示す情報を指す。

    ・ジオグラフィックデータ
    地理的な位置情報や統計データに関する情報で、国や地域、都市、郵便番号、緯度経度などの地理的属性が含まれる。

    ・サイコグラフィックデータ
    消費者の価値観、趣味、嗜好、習慣、購買動機、ライフスタイル、社会的な立場、意見、行動原理など、顧客の内面に関する定性的な情報が含まれる。

    ・ビヘイビアデータ
    利用頻度、利用用途、購入履歴、行動範囲等の 顧客が商品・サービスに対して「行動学的属性(実際に取った行動)」のことを指す。

    これらを複合的に捉え、問いと仮説を繰り返し見えない事実を見つけていくことが必要である。

    市場センシングと社会記号の視点

    先ほどは2つのデータとデータの種類について触れた。あくまでも、個人や集団の視点の話であったが、次は「市場」という視点について書いておきたい。

    いち消費者やその集団の視点よりもより高い視座には、業種や業界、市場や社会、国、世界みたいな視点が存在するだろう。今世の中で何が起こっているのか?何がはやっているのか?どんな当たり前が出てくるのか?もちろん概念や視点の抽象度は、個人の話よりもぐっと抽象的になるだろう。

    結局のところ、個人の集合によって国や社会が存在する。社会や市場を捉えると全体的な「流れ」が汲み取れる。その流れの象徴として「社会記号」という概念がある。

    例えば、昔は「ハラスメント」なんて言葉はなかった。「主夫」なんて言葉もなかっただろう。「バズる」や「パパ活」「エモい」なんて言葉はなかったのではないか?

    新しい言葉が生まれる。これはいち消費者(個人)の眠れる心の本音が表層化し、新しい「言葉」として世の中に出てきたことを指している。

    いつしか新しいは、現代における「当たり前」に進化する。もちろん、短期的な流れもあれば、中長期的に続く常識になることもある。

    コロナによって、オンラインで仕事が完結したり、ECサイトの利用率があがったり、外出する機会がへったり、世界の常識を変える流れもあれば、地元で起きるような小さな流れもあるだろう。

    この流れから、今の人々が何を求めているのか、その次にどんな流れがくるのか?これらを観察することは、自分が、事業が、ブランドが社会に取り残されないためにも必要である。

    こういった視点も持つことで、国や行政、世界が出す定量的データをみても、新しい解釈や尺度で情報に仮説を生み出せるかもれない。

    もしかすると、コロナとともに盛んになった「オンライン」がきっかけで、「オフライン=リアル」の価値はこれまで以上に高まったかもしれない。リアルの価値があがったことで、「生きている」実感をより体感したくて、島暮らしに出る人や、農業をやる人が増えたのかもしれない。自分の身体を鍛えることほどリアルを感じるものはないかもしれない。自粛の時間に自分と向き合う時間が増えたからこそ、瞑想や宿坊、コーチングやスピリチュアルといった、自分を知りたい欲が高まったのかもしれない。

    社会や市場の変化を敏感になれると、ブランドや自分自身のあり方もまた変化すべき時かもしれない。

    ニーズとウォンツ(顕在と潜在)

    少し視座の高い話を挟んだが、ここからは少し具体の話を行っていく。ニーズとウォンツという言葉を聞いたことがあるだろうか?

    ニーズ:目的
    ウォンツ:ニーズを満たすための手段

    を指している。

    具体的には「喉が乾いた」はニーズで、「水が欲しい」はウォンツとなる。

    しかし、ニーズは大きくは二つに別れる。

    顕在的ニーズ:言語化できる欲求
    潜在的ニーズ:言語化はできないが指摘されると気がつける欲求

    の2つだ。

    顕在、潜在に加えて、自覚があるが言えないことも存在する。ここでは大きく言及はしない。

    ニーズやウォンツという言葉を使わなくとも、消費者の購買行動を、目的と手段という大きな括りで捉えるくらいで良いと思う。

    大切なことは、何に「不」を抱えているか?その結果「どうなったらいい」と考えているか?だ。難しい言葉を使わなくとも、今の自分をどう変えたいと思っているか?に目を向けることがまずは大切である。その結果、その不を再解釈する、または、つまりどういうことか?と抽象度を上げ、どうその「不」を解釈するかだ。先ほど記載した通り、消費者は思ったより言語化できない生き物であり、時に無意識に嘘もつく。そのことを理解した上で、相手の目的や手段を捉えることに挑戦して欲しい。

    be-do-have

    もうひとつ、ニーズやウォンツの話と一緒にしておく必要があるのは、beニーズ、doニーズ、haveニーズである。これは、ニーズの種類というよりも、購買までのフェーズわけしたようなイメージがいいかもしれない。この3つに階層わけができると、人間の購買行動の本質が理解しやすい。

    beニーズ:理想の姿
    doニーズ:未充足
    have:欲しい

    人間は、理想と現実のGAP(認知的不協和)を何かしらの手段で埋めよう(解消)とする。

    喉が乾いたから水を買うのも、いい方を変えると喉を潤した状態になりたいから、喉を潤す手段として飲み物を購買して飲むという行動を起こす。

    目的と手段が混同する人は多い。資格をとることが目的になり、とった資格をどう活かすか?を忘れてしまう人がいるのもそのためだ。なんのために資格をとるのか?「持ってたらなんとなく良さそう」というのはよく耳にする話だ。

    ちなみに、beニーズがどのように醸成されるかというと、その多くは「社会」や「環境」や「情報」などの外的な要因によるものが多い。

    例えば、SNSでバズっているものに惹かれ、新しい自分の価値観や理想が生まれる。その価値観に沿って自分の思想はできてくる。その思想が、自分のアクション(行動)を決定し、そのうちに、自分の目指したいビジョン(理想)、つまりはbeニーズが生まれてくる。

    これは「人生」といった大きな枠組みの話でもあれば、好きな服や食べ物、働き方という価値観や、家族とは何か?幸せとは何か?といった概念もそう。

    その中で、自分のベンチマーク(理想の基準)が生まれ、その人と現在の自分とのGAPを知覚する。インフルエンサーや有名人がSNSを通じてPRするのは、「有名人の〇〇さんが持ってたあのバッグ」が欲しいとなるからで、その本質は「私も〇〇さんに近づける」という期待感である。

    常に人間は、理想と現実の間で悩み、新しい情報を得ては、新しい理想を作り出し、その度生まれる認知的不協和を解消しようと、何か買ったり、サービスを受けたりと購買行動を起こすのだ。

    インサイト(4つの構成要素)-アハ体験 認知の書き換え

    who(誰に)について、ここまでの話を整理すると、人間の購買行動は、be-do-haveに基づいており、それは理想と現実のギャップ(認知的不協和)の解消のために購買haveとして購買を起こすということを説明した。ニーズとウォンツもまさに、このbe-do-haveに基づいており、GAPが言語化されたものがつまりニーズであり、その結果生まれるhaveこそがウォンツと言える。言語化されているのは、顕在ニーズであるし、言われて気が付くニーズは潜在ニーズである。

    もう一つ深く消費者を理解するために、ここでは「インサイト」について触れておく。

    インサイトとは、潜在ニーズよりも深い位置にある無意識の欲求である。これは、消費者も自覚していない。言われても気が付かないほどに。これは、企業やブランドが「もしかしてこうなんじゃないか?」「本音ではこう思ってるんじゃないか?」という「仮説」の構築と、検証、分析によって明らかになっていくものである。

    一つの例として、「ダイエットしたくてトレーニングに取り組む人」のインサイトを考えてみようと思う。

    この人が抱えてそうな悩みの一つに、「なかなかトレーニングが続かない」という「不」はよく耳にするだろう。だからこそ、ライザップは「結果にコミット」をコンセプトにブランドを大きくできた。

    しかし、この消費者が抱えてそうな奥深くの悩みは、「ダイエットで痩せられないよりも、こんな身体になるまで、自分に向き合って来なかった自分の怠惰さや、それでもなお頑張りきれない自分自身に対する自己嫌悪」かもしれない。「身体の悩みや見た目の悩み」よりも実は「頑張れない私を責めてしまう精神的な悩み」こそが、表に出てこない、また自分自身で自覚もできていないインサイトかもしれない。

    ※ あくまでも仮説

    ナノックスという洗濯用洗剤を知っているか?これはよくインサイトの説明事例として出てくるものであるが、わかりやすいためにここにも記載しておく。

    洗濯物を洗う時に、重要視しているのは「汚れが落ちたかどうか?」だと思われているかもしれない。少なくとも、過去の洗濯用洗剤はそうだった。しかし、消費者の洗濯用洗剤を利用するシーンを細かく観察していると、実は「汚れ」ではなく「匂い」が取れたかどうかで、洗濯がきっちりできたかどうかを判断していることがわかった。誰しもが、洗い終わった選択ものを顔に近づけて匂いを確認する。その行動を観察し、ヒアリングしていくと、「匂いが取れたか?」を無意識に確認していた。

    これもまた、消費者ですら自覚できていなかった当時のインサイトの事例である。

    潜在ニーズよりも深いインサイトをどうやって探っていけばいいものか?インサイトを発見するための4つの視点を共有しておく。

    ・emotional(感情)
    ・scenem(状況)
    ・background(背景)
    ・driver(きっかけ)

    この4つを複合的にみることで、インサイトを見つけやすくなる。しかし、4つの視点を駆使してもなお必ずインサイトが見つかるとはいいにくい。しかし、インサイトは簡単に見つかるものではない。視点を駆使して発見を試みて欲しい。

    4つの視点を少し解説しておく。

    まず、インサイトが生まれる時、そこには、動かされる感情が存在する。「嬉しさ、悲しさ、驚き、怒り」などである。しかし、それは「状況」によって感情の生まれ方は変わる。「周りに人がいる、急いでいる、お昼間なのか、仕事場なのか、プライベートなのか」などだ。そしてある特定の状況下で、何かがトリガー(driver=きっかけ)になって、感情に動きが発生する。その感情の動き方は、概ね似ているだろうが、その人の育ってきた環境や、持っている特徴、脳の使い方のクセによって、感情の動きには複数性があるだろう。感じ方は、人それぞれ違う。その理由は、生きてきた背景が違うからである。

    特定の状況という前提と、
    特定のきっかけがあると、
    背景によって規定されたその人の脳の癖に基づいて、
    一定の感情が生まれる。

    細かくは、その感情は人それぞれ違うだろうが、大枠では特定のパターンがあるだろう。

    その時にとった、反応(発した言葉やとった行動)を知覚、観察し、その人の本音を分析していくことで、インサイトの仮説を構築することができる。

    もっとわかりやすくいうと、
    「特定の条件下で、きっかけを与えると、特定の行動をする」
    「その時の属性を洗い出した時に、偏りが現れる」
    「その集団(トライブ)が一番のターゲットになる」

    インサイトとはアハ体験で、一瞬、また進化する

    4つの視点と、反応の知覚と観察によって、インサイトの仮説を考えることを伝えた。

    インサイトについてもう少し解像度を高めておこう。

    インサイトにもグラデーションの概念が存在する。浅いインサイトもあれば、深いインサイトも存在する。これは、マス(全体)を対象にした事業(ブランド)か、特定の商圏を対象にしたものか、数百名程度を対象にしたものかで、どこまでのインサイトを掘れば良いのか?は違ってくるとも言える。

    巨大企業は、そもそもマスを対象にした商品展開が必要になるだろう。でも個人事業主で売上100万円を目指す程度なら、数百名程度に刺さるもので良い。マスの方が明らかに最大公約数を見つける必要が出てくるが、その場合、自然とインサイトは浅いものになるだろう。個人事業の場合はその逆である。

    商品やサービスの種類、店舗がECかによっても、どの程度のインサイトを特定しなければ行けないのかも変わってくるだろう。

    インサイトには強度も存在する。最も強烈なインサイトは「究極の不」だと考えている。
    これは、HIPHOPの歴史をみるとわかりやすい。

    HIPHOPは、簡潔に説明すると、黒人差別からきている。差別を受けた黒人が集団となって、お金もかからない遊びを試みた。抱える不満を音やリズムに合わせて発することからスタートしている。悪いことをしていないのに、国家レベルから迫害を受ける。この、打開策もない、不満を曝け出す場所もない、圧倒的な抑圧は、やがて無意識に「考えてもどうにもならない」に変わり、差別を受けることは「この世では当たり前」になっていく。嫌なのに、嫌なことを押し殺して嫌なことも忘れ去るほどに。

    同じ気持ちを持った黒人が集団となって、音とリズムと言葉で共感し合う。HIPHOPはこうして生まれてきた。

    究極のインサイトがそこにある。それは共感の先に熱狂を生み、やがて社会を巻き込んでいくわけだ。
    強烈なインサイトは「熱狂」を醸成する。世界をも変えていく。黒人差別が当たり前とされた時代に、本音をストレートにぶつけることで。

    これは、ブランド作りとポジションの話ともつながってくる。世の中の当たり前という一つの「基準」から、対立の概念を打ち出すことで「実は私もそう思っていた」という、抑圧されて発言もできなかった人達が味方になってくれる。そこには、単につながった者よりも、強いエンゲージメント(繋がり)を作くる。強いブランド認識が作られていく。

    ともすると、世の中はこうした、当たり前が強されて進化してきた。

    真言宗/天台宗から浄土宗→浄土真宗が生まれた過程もそうだ。iPhoneも、携帯電話というボタン式のガラケーが当然の時代にパネルに変わってきた。イノベーション(変革)が起きる時はいつだって、当たり前の破壊と創造からだ。

    言い換えると、
    インサイトとは、何も4つの視点がどうのこうのよりも、もっとわかりやすく、バイアス(当たり前)から逸脱した新しい当たり前の打ち出しと言えるかもしれない。その時に「ハッ!」とさせられる。

    「認識の組み替えや変化」が起こる。

    これを「アハ体験」と呼んでいるが、このアハ体験こそインサイトを指した瞬間である。

    社会の当たり前を見つけよう。それが新しい社会記号(草食男子やエモいなどの言葉)が生まれている時は、新しい当たり前ができる時である。インサイトが見つけやすいだろう。

    業界の当たり前を見つけよう。そこには、新しいサービスのソリューションを生むビジネスチャンスがあるかもしれない。

    所属している会社の当たり前を見つけよう。企業成長のきっかけとなる新しい市場を開拓できるかもしれない。

    社長の当たり前を見つけよう。企業成長を邪魔しているのは、社長の思い込みかもしれない。

    身近な人の当たり前を見つけよう。精神的に悩んでいるなら、ポジティブ解釈に切り替わり一人を救うきっかけになるかもしれない。

    自分の当たり前を見つけよう。新しい発見が自分をさらなる高へ上げてくれるかもしれない。

    いつだって、当たり前の破壊と創造で世の中は進化してきたんだ。その当たり前からの逸脱こそインサイトの本質ではないだろうか。

    CEP(カテゴリーエントリーポイント)文脈-オケージョン

    ここまで、ニーズについて、be-do-haveについて、そしてインサイトについて説明してきた。もう1つwho(誰に)を理解を深めるために、知っておいて欲しい視点がある。

    それが、このCEP(カテゴリーエントリーポイント)という視点だ。

    CEP(カテゴリーエントリーポイント)
    ・消費者が特定の商品カテゴリを検討する際に最初に思い浮かぶブランドや特徴。
    ・あるいはそのカテゴリーを想起するきっかけを指す。

    つまり、先述さいた「ポジション-第一想起」の話と紐づいてくる。ここでのCEPの意味は、
    「カテゴリーを想起するきっかけ」で捉えて欲しい。

    CEPについての理解を深める前に、beについて少しおさらいさせてほしい。be(理想の姿)についての説明を行った際に、以下の文章を記載した。

    beニーズがどのように醸成されるかというと、その多くは「社会」や「環境」や「情報」などの外的な要因によるものが多い。

    例えば、SNSでバズっているものに惹かれ、新しい自分の価値観や理想が生まれる。その価値観に沿って自分の思想はできてくる。その思想が、自分のアクション(行動)を決定し、そのうちに、自分の目指したいビジョン(理想)、つまりはbeニーズが生まれてくる。

    これは「人生」といった大きな枠組みの話でもあれば、好きな服や食べ物、働き方という価値観や、家族とは何か?幸せとは何か?といった概念もそう。

    つまり、自分が考える「理想の姿」は、外的要因によって醸成される。これは、頭の中にある「イメージ=認識」だ。その後に「〇〇がしたい」「〇〇が欲しい」という具体的な言葉やアクション(購買行動)が生まれる。

    特定のカテゴリー(つまり理想の姿)において、doとの差分(認知的不協和)が生まれる時に、何かをきっかけ(ドライバー)に、商品を思い出す。この思い出すタイミングと想起ドライバーのことをCEPと読んでいる。

    例えば「ダイエットして美しくなりたい」と思っている人なら、
    朝起きたばかりの自分の顔をみた時にそれを感じるかもしれない。テレビをつけたら好きな有名人が出ていて、「毎日トレーニングをやってます」と聞くと、その人はその場で「近くのトレーニングジム」を検索して、無料体験に申し込むかもしれない。

    会社に行ったら、友達に「最近ちょっと大きくなった?」なんて言われようもんなら、おすすめの運動やダイエット方法について、女子トークが繰り広げられるかもしれない。
    そうなると昼食は、サラダチキンで我慢。
    いつもなら乗るエレベーターも「今日は階段にする」とか。

    そうやって、「ダイエット」やそれに紐ついた「運動-トレーニング」なんかが想起される。

    そのタイミングで、何かしらのきっかけがあれば「チラシ」「通りがかりの看板」「ネット検索」「バナー広告」をみた時、問い合わせになるかもしれないわけで。

    運動というカテゴリーに、エントリー(参加)するタイミングのことを、CEPと呼んでいるわけだ。
    エントリーポイントが多いに越したことない。それだけ商品やブランドを思い出してもらうタイミングが多いということになる。

    このエントリーポイント全体のことを、CEPと呼ぶが、その一つひとつの点(ポイント)は、事業者視点でいうと「文脈」と読んだり、消費者視点でいうと「オケージョン」と呼んだりしている。

    who(誰に)を決める時に、CEPや、文脈/オケージョンまで、理解が深まると、そこらにいる人よりも、消費者というより、むしろ人間の解像度が高い状態になるだろう。

    ドミナントストーリー(顧客の合理性)と認識

    who(誰に)の章で最後に伝えておきたいことは、この「ドミナントストーリー」だ。これは、一言で説明するなら「顧客にはその顧客の合理性」がある、ということだ。

    我々人間は、誰に一人として同じ経験を積んできたわけではない。家族も違えばであってきた友達、学んできたこと、読んできた本、時間の費やし方、全てにおいて同じではない。「傾向」は存在するだろうが。だからこそ、このドミナントストーリーの視点を持っていて欲しい。

    GOの三浦さんは、「世界の複数性」と言った。

    我々人間は、言葉の意味やニュアンス、感情の持ち方は人それぞれことなっている。同じ世界に生きていながらも、見得ている世界は違うのではないだろうか。

    世の中は、実に不思議だ。

    ただの紙切れを「お金」と信じている。目には見えない「ブランド」が、エルメスのバーキンのように「お金持ちが持つバッグ」だと認識している。無印良品は「ブランドじゃない!」というが、「ブランドじゃない!ことがブランド化している」

    もしかすると、目の前に存在しているモノも、サービスも、ヒトも、ただの認識にすぎなくて、存在しているのは「頭の中だけ」かもしれない。

    それだけ、認識とはあやふやなもの。しかし、本質的なことだ。それで社会が成り立っているから。
    その認識を作るのは、その人の「バックグラウンド(背景)」である。その背景が、その人独自の価値観を形成する。その価値観に基づいて意思決定し、購買行動を起こす。

    ドミナントとは支配的 を意味する。人それぞれ自分の価値観に縛られたストーリーを持っている。それを知ることこそ、who(誰に)の解像度を上げるということだ。

    ドミナントストーリーの理解から、CEPの洗い出し、オケージョンの把握。その中で醸成されたbeがdoとの認知的不協和を生み、サービスが購買される。それが、世界で同時進行で進んでいる。社会の流れの中で、新しいbeが生まれる。やがて社会記号化される。

    全てがつながっていると感じないだろうか?